DPCデータを用いた病院指標

DPC制度

DPCとは、急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度であり、その本質は医療情報のデータによる標準化と、情報公開による透明化にあります。
当院は平成18年よりDPC対象病院として、地域の急性期医療を担ってきました。その中でも、大学病院と同等の診療実績を有する高機能病院として、DPC特定病院群の指定を受けており、現在もその機能を維持しています。


病院指標と公開の目的

病院指標とは、全国共通のルールで集計した指標であり、病院を客観的に数字で示したものです。横須賀共済病院を利用する皆様に、病院の特徴や医療提供体制について理解を深めていただくことを目的として公開しています。


現在公開されている指標の共通の定義について

  • 令和5年4月1日~令和6年3月31日までのデータを使用しています。
  • 保険適用のデータのみ使用し、事故や労働によるけが等の保険外データは入っていません。
  • ICD-10とは世界保健機関(WHO)が作成した疾病分類のことです。
  • DPCコードとは、入院中に治療した病名と診療行為を、全国統一のルールでコード化したものです。

令和5年度 横須賀共済病院 病院情報の公表

病院指標

医療の質指標

年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 520 230 378 583 957 2018 3070 6376 4822 963
地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院、DPC特定病院群(大学病院本院に準じた診療密度と一定の機能を有する病院)である当院は、救命救急センターを持ち、地域医療の中核として、質の高い医療を新生児から高齢者までの幅の広い年齢層の患者さんに提供しています。
新生児のICU(集中治療室)があり、0歳代の患者さんが多く入院しています。若年層では、周産期を含めた産婦人科の患者さんが多く入院しています。
40歳代以降では、心疾患(狭心症、虚血性心疾患と不整脈)、悪性腫瘍、良性腫瘍の患者さんが多くなり、80歳代以降では上記疾患に加えて白内障、高齢者の救急疾患としての肺炎、大腿骨骨折の患者さんが多くなります。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
【定義】
・各診療科を退院した症例を、DPCコード毎に集計しております。
・DPC名称とは、DPCコードを分かり易く名称化したものです。
・症例数が10件未満のものは「-(ハイフン)」表記となっています。
・平均在院日数(自院)とは、DPCコード毎の入院日から退院日までの平均日数です。
・平均在院日数(全国)の数字は令和5年度のDPC対象病院の全国平均在院日数を掲載しています。
・転院率とは、DPCコード毎の症例数のうち、他病院へ転院することとなった患者さんの割合を示しています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 430 2.06 2.61 0 69.56
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 145 8.52 8.75 1.38 75.27
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 57 6.51 8.95 1.75 76.74
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 55 7.89 7.61 0 76.73
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 53 7.94 7.58 1.89 69.68
・ 消化器内科で最も多い症例は大腸ポリープです。内視鏡での切除を行います
・ その次に多いのは総胆管結石などによる胆管炎です。胆管炎の原因となる総胆管結石などを内視鏡(内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP))を用いて治療します。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 209 3.04 2.98 0 72.19
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 178 7.06 8.33 0 71.84
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 131 24.55 18.65 19.08 77.23
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 52 18.62 20.60 42.31 84.54
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 35 11.14 13.59 20 75.29
・ 呼吸器内科では呼吸器の癌に対する検査を目的とした入院が最も多くなっています。具体的には気管支鏡検査、CT下生検、局所麻酔下胸腔鏡検査などが挙げられます。
・ 呼吸器の癌では、肺癌が最も多く、次いで胸膜中皮腫などが挙げられます。これらの癌に対して、抗がん剤などによる治療目的の入院が2番目に多くなっています。抗がん剤は、従来の殺細胞性薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤があります。抗がん剤投与の他、放射線科と協力して放射線治療も行っています。
・ 3番目は、間質性肺炎の治療による入院となっています。病態が悪化して緊急入院となる場合と、抗線維化薬投与を目的とした予定入院があります。
・ 4番目は誤嚥性肺炎の治療による入院になっています。救急搬送され、抗菌剤で治療を行います。肺炎が治療できても、生活レベルが著しく衰えていることが多く、リハビリテーション、介護体制の構築、療養型病院への転院調整等が必要となり、入院が長期化する傾向にあります。
・ 5番目は呼吸器の癌に対する終末期医療での入院になります。基本的には入院が必要となる前に、自宅での看取り、もしくはホスピスへの入所、どちらを希望されるかをご本人、ご家族に確認しています。しかし希望が確認できる前に緊急入院される場合があり、その際は入院後に対応させていただく形になります。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 47 13.17 15.70 34.04 72.02
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 37 24.27 19.09 67.57 68.65
010060x2990400 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 30 15.07 19.17 50 72.4
030400xx99xxxx 前庭機能障害 29 4.66 4.73 0 70.14
010230xx99x00x てんかん 26 10.73 7.19 7.69 69.96
・ 脳神経内科は脳(および脊髄,末梢神経,筋肉)の病気を診る内科です。精神科,心療内科,神経科など似た名前の診療科が「こころの病気」を診るのとは領域が異なります。脳を含めた神経系は、全身に分布し身体のコントロールを行っているため、神経内科で診る疾患は多岐にわたります。
・ 最も頻度の高い疾患は脳卒中の一病型である脳梗塞や脳出血です。脳梗塞は発症して間もない(超)急性期の診療が最も大切で、脳神経外科や救急科と協力して24時間体制で、tPA静注治療を含めた(超)急性期治療に取り組んでいます。
・ その他、てんかん・けいれんの救急治療,認知症や神経難病の診断に力を入れています。神経難病の患者さんは、合併症として嚥下・呼吸障害を来しやすく、その結果起こりやすい肺炎の治療も一般内科医として行っています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 94 5.22 7.57 1.06 70.33
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 78 10.99 11.49 3.85 69.65
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 67 11.07 13.81 1.49 73.64
110280xx02x01x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 28 5.86 17.07 0 70.25
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 27 18.59 20.60 37.04 83.15
・ 腎臓のはたらきが正常の10%から15%以下になると、透析などの腎代替療法(腎臓のはたらきを代行する治療)が必要となります。血液透析を開始する前段階として、内シャントを作成をしておく必要があり、その血管手術 のために入院する症例が腎臓内科では最も多くみられます。
・ 実際に血液透析を開始する段階となった場合には、再度入院をしていただきます。透析が開始となりましたら、内服薬の調整や食事療法の内容変更、透析条件などの調整などをおこないます。そして退院へむけて通院先(透析クリニック)のご提案や通院方法を調整したのちに退院となります。
・ 腎臓のはたらきが低下した慢性腎不全では、多くの合併症(感染症が多くみられます)を有することがあり、それらの診断・治療のための入院は他の診療科とも連携して行っています。
・ 検尿異常の精密検査としてエコーガイド下腎生検(病理検査)が必要となる症例では、検査入院および必要に応じて治療を開始しています。
・ 腎臓のはたらきが低下すると、水分が貯まって血圧が上昇したり、貧血を認めるようになります。どちらも心臓に負担となり、心臓のはたらきが低下する心不全にかかりやすくなります。腎臓内科では、循環器内科(心臓の内科)とも連携して治療にあたっています。
内分泌糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 117 10.75 13.99 1.71 68.1
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 21 9.57 10.66 0 65.71
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 17 9.88 13.15 0 58.35
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 16 9.56 13.31 6.25 51.88
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 11 20.09 20.60 18.18 84.45
当科は、内分泌疾患(ホルモンの過剰や不足による病気)、糖尿病を中心に診療しています。糖尿病の患者様の割合が多く、外来においては甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病など)も多く診療しています。その他、下垂体疾患(下垂体機能低下症、先端巨大症、尿崩症など)、副甲状腺疾患(高・低カルシウム血症など)、副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)などの検査・治療を行っています。
糖尿病は大きくわけて1型糖尿病と2型糖尿病がありますが、およそ9割が2型糖尿病です。2型糖尿病は遺伝因子に加齢、肥満、運動不足などが加わっておきる糖尿病で、治療には生活習慣の改善が最も大事です。血糖コントロール改善と合併症検査、糖尿病について学習していただく目的の10日間入院コースが作ってあります。
1型糖尿病は自己免疫によって、膵臓のインスリンを作るβ細胞が壊れてしまいおきる糖尿病です。早期からインスリン注射が必要な状態になります。近年進歩してきた、携帯式のポンプによりインスリンを自動制御で注入する治療(AID:Automated Insulin Delivery System)を導入する入院も行っています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 53 19.04 19.61 1.89 79.66
130030xx99x9xx 非ホジキンリンパ腫 48 16.46 12.88 2.08 73.56
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 46 11.02 9.62 2.17 73.5
130030xx99x6xx 非ホジキンリンパ腫 45 11.8 13.10 0 75.22
130010xx97x2xx 急性白血病 43 32.16 36.15 2.33 62.14
・ 血液内科に入院される、最も多い疾患は、悪性リンパ腫で、更にそのうちの非ホジキンリンパ腫です。また、2022年度から、より細分化されました。
・ DPCコード1行目の130030xx99x5xxは、非ホジキンリンパ腫のうちB細胞リンパ腫で、化学療法としてリツキシマブを投与され、G-CSF製剤(好中球(白血球の一種)減少に対して、好中球を増やす薬)を投与されています。
・ 2行目の130030xx99x9xxは、悪性リンパ腫で、化学療法を受けた患者さんで、ブレンツキシマブ ベトチンまたは、ポラツズマブ ベトチンを投与されています。
・ 3行目にある130030xx99x4xxは、上記と同じB細胞リンパ腫で、化学療法としてリツキシマブを投与されています。  
・ 4行目の130030xx99x6xxは、上記と同じB細胞リンパ腫で、化学療法を受けた患者さんで、レナリミド、ベンダムスチン、ボルテゾミブ等を投与されています。
・ 悪性リンパ腫に次ぐ疾患は、急性白血病で、5行目の130010xx97x2xxは、 急性白血病(急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病)に対して、化学療法、輸血療法を行った患者さんです。
・ また、当科では無菌治療室を13床(個室5床)有しています。急性白血病、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫に対する化学療法や自家末梢血幹細胞移植時などで使用しています。
・ 上記以外にも、造血器腫瘍である多発性骨髄腫・骨髄異形成症候群、指定難病である再生不良性貧血・特発性血小板減少性紫斑病・自己免疫性溶血性貧血など、さらに血友病などの出血性疾患まで、幅広く血液疾患を診療しています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) 208 4.16 4.55 0.96 71.35
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 116 12.36 15.12 0.86 72.18
060335xx02000x 胆嚢炎等 110 5.87 6.87 0.91 66.05
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 97 7.81 9.88 0 69.71
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 85 2.35 3.62 3.53 39.84
外科でもっとも診療実績が多いのは鼠径ヘルニアです。
次に診療実績が多いのは胆石、結腸の悪性腫瘍、乳房の悪性腫瘍の順となっています。大腸癌(分類上結腸癌と直腸癌に分けられています)は、ほとんどすべての手術を腹腔鏡で行っています。在院期間も短く、結腸癌は11日間です。大腸の癌で化学療法が必要な患者様も長期に入院する必要はなく、外来化学療法室で通院しながらゆっくりと治療を受けることができます。
胆石の疾患もほとんどの症例で腹腔鏡下の手術を行っています。在院期間は最短で術後2日、ほとんどの患者様は5日までに退院されます。総胆管結石を合併された患者様は、術後早い時期に入院継続したまま内科で内視鏡的に治療します。胆嚢結石による急性炎症に対する緊急的な手術も多くなっています。急性炎症の手術でも可能な限り腹腔鏡の手術を行っており、早期の退院が可能です。乳癌の治療は、手術だけでなく、形成外科と合同で再建術や、化学療法も行っております。
上記以外にも胃癌や肝臓・膵臓・胆嚢・胆管などの悪性疾患も非常に多く治療しています。悪性疾患は長期の外来での通院が必要ですが、患者さんのお住まいの近所の診療施設と連携して診療を行っていくシステムもあり、患者さんの通院負担が軽くなるようにしています。
すべての疾患は、疾患ごとに専門外来で診療しており各疾患の専門医が治療に当たっています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 76 13.89 11.87 28.95 81.03
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 68 8.9 8.38 22.06 76.34
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 63 2.62 2.95 0 66.38
010070xx9910xx 脳血管障害 53 3.26 3.12 1.89 72.34
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 49 17.33 19.09 48.98 66.8
・ 当院は地域の救命救急センターを有しており、脳卒中や頭部外傷の救急医療に24時間365日対応しております。総数では年間1200人以上の入院をお引き受けしていますが、これらの疾患が上位を占めます。脳卒中には、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があります。頭部外傷は直後に生じる頭蓋内出血の他、1-2ヶ月で増加する慢性硬膜下血腫が主な原因です。
・ 脳梗塞は、脳の血管が閉塞することにより、脳組織が壊死し、機能を失う病気です。可及的早期に血液を再開通させることで、後遺症を消失、軽減することができます。このために、点滴薬である血栓溶解療法や、カテーテルを用いた血栓回収術を積極的に取り入れて対応しております。原因の一つとして、生活習慣病による脳動脈狭窄があり、高度の場合は発症、再発予防のためにステント留置術が考慮されます。精査のため、脳血管撮影を行い、治療の必要性を判断します。
・ 脳出血(非外傷性頭蓋内血腫)は、高血圧を原因とし、脳内の血管が破綻することで周囲に出血し、脳組織を破壊する病気です。出血の量によって、救命や機能改善を目的として、血腫を除く手術が必要となります。開頭手術の他に、低侵襲である内視鏡を使用した手術も行っています。
・ くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂により生じます。重症化することが多く、再破裂を防ぐために開頭クリッピング手術や血管内手術(コイル塞栓術)を行います。MRIなどで、未破裂脳動脈瘤が発見された場合、破裂によるくも膜下出血の可能性があり、脳血管撮影で精査し、必要に応じて破裂予防の治療を行います。このため、検査や手術のための入院も多くなっています。
・ 頭部外傷も多く搬送され、入院されています。頭部外傷は、軽症の場合には点滴などの内科的治療で十分ですが、脳挫傷や大量の血腫が溜まってしまう場合には、手術が必要になります。
・ 外傷直後(急性期)の入院の他にやや時間が経過してから(慢性期)生じる「慢性硬膜下血腫」という疾患もあります。頭部外傷の約1‐2か月後に頭蓋骨と脳の間に血液が徐々に溜まってきている病態です。血腫が増えて脳が圧迫されると頭痛や運動麻痺の原因になるため、手術によってこの血腫を洗い流す必要があります。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 39 14.08 10.42 2.56 76.05
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 10 21.3 21.52 0 70.6
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 10 2.9 2.61 0 72.2
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 - - 27.58 - -
050070xx9701xx 頻脈性不整脈 - - 23.83 - -
・ 腹部大動脈瘤または腸骨動脈瘤に対する手術方法は、外科的動脈瘤切除人工血管置換術を基本術式としています。外科的人工血管置換術は再発や再手術のリスクが少なく、より根治的な治療方法です。
  その中で、動脈瘤に対するステントグラフト治療は、患者さんの状態や動脈瘤の形態で適応を判断し、よい結果が期待できそうな動脈瘤を選択して行っております。
・ 大動脈解離や胸部大動脈瘤などの胸部大動脈疾患に対する手術も、その約2分の1の症例でステントグラフト治療を行っております。
・ 心臓手術では、弁膜症と虚血性心疾患が併存している患者さんが増加しています。弁膜症だけの手術、または虚血性心疾患だけの手術を行うことは減ってきています。
  弁膜症手術と同時に冠動脈バイパス術も行うといった、複合手術が増加し、大部分の患者さんで複合手術をしています。
・ 弁膜症手術では小さな傷で手術を行う低侵襲心臓手術(MICS)も行っております。
・ 下肢静脈瘤の治療も再開しています。1泊入院でレーザー(ラジオ波)手術を行っています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 140 10.18 9.89 0 72.14
040200xx01x00x 気胸 26 10.04 9.54 0 41.65
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 20 6.85 8.33 0 68.85
040030xx01xxxx 呼吸器系の良性腫瘍 11 6.36 8.53 0 59.91
040150xx97x00x 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 11 26.91 28.24 27.27 73
診療科別症例数トップ5;呼吸器外科:
はじめに:DPCコード別に検索するという手法のために同じ疾病であっても分類される場所が異なってくる傾向が生じます。この点を理解しやすくするためにこの解説があります。
呼吸器外科で最も多い症例(第1位)は、肺の悪性腫瘍(手術療法を施行したもの)です。肺の悪性腫瘍とは①原発性肺癌と②転移性肺腫瘍です。その殆どが、肺葉切除と区域切除、部分切除術です。第2位は、気胸に対する手術例ですが、若年者と高齢者で病態とそれに対応する手術術式が若干異なるところもありますが、いずれにも同一のDPCコードに分類であるため、1つに括られています。第3位は、肺の悪性腫瘍で、"手術なし"が入っていますが、これらの多くは点滴による抗癌剤治療(術後補助化学療法および再発治療)です。
第4位は、肺の良性腫瘍で、肺癌との鑑別も含め良性腫瘍でも手術する必要があることがあります。第5位は、膿胸などの胸腔内感染に対する手術を行った症例です。肺炎を契機に肺化膿症や膿胸となって、内科的治療(抗菌薬の投与など)では限界がある場合、手術で膿瘍を開放して直接治療する例は以前からもありましたが、新型コロナ感染が始まってから増加傾向です。理由は、科学的に立証されたわけではありませんが、運動不足やフレイルとなったご高齢の方を中心に感染症の患者様自体が増加したことによるのではないかと推測しています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 271 24.51 25.50 47.6 82.75
160760xx97xx0x 前腕の骨折 81 3.95 4.76 1.23 55.22
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 52 21.81 21.96 1.92 76.85
160720xx01xxxx 肩関節周辺の骨折・脱臼 48 7.54 14.00 2.08 67.75
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 37 20.19 19.55 2.7 73.86
当院整形外科では、股関節近位部での骨折で入院される患者さんが最も多くなっています。ほとんどの患者さんは早期に手術を受けてリハビリを開始しますが、もともと高齢の方が多いため、入院期間が長くなってしまいます。最近では地域連携パスも利用して、リハビリ病院に転院される方の割合も比較的多いです。
上肢(前腕、上腕など)の骨折に対して手術を受けられる患者さんも多いですが、手術翌日に退院される患者さんも多く、入院期間は比較的短くなっています。大腿骨の骨折などでは転院される方の割合が増えています。
膝関節,股関節に対する人工関節置換術では多くの方が2~3週間で自宅に退院されますが、入院でのリハビリ継続を希望される方は転院されています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 576 2.08 2.54 0 76.87
020160xx97xxx0 網膜剥離 44 7.05 7.81 0 57.18
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 38 5.89 5.67 0 68.37
160250xxxx1xxx 眼損傷 20 4.2 8.04 0 72.75
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 18 4.89 6.10 0 59.33
・ 眼科で入院される患者さんは、ほぼ手術目的です。
・ 白内障手術の患者さんが最も多く、当院では両眼の場合、分割して手術しています。日帰り・入院どちらにも対応しています。
・ 白内障手術以外で多いのが、当院の専門としている網膜硝子体疾患です。増殖糖尿病網膜症や網膜剥離といった、放置することで失明につながる重篤な疾患に対しては、早急に手術対応することを心がけております。
・ 網膜剥離の場合、近隣医療機関から当科にご紹介いただいた当日、もしくは翌日に手術を行うよう努めています。
・ 黄斑部の手術は、黄斑円孔や黄斑前膜といった疾患が適応となります。これらは緊急疾患ではありませんが、手術時期が遅れると術後の視機能回復に影響が出るため、早めの手術加療を行っています。
・ 入院期間は全ての眼底疾患で7日以内と短期間であり、年々短縮傾向にあります。短期間であっても、患者さんに対する術後点眼指導や、ガスを眼内に入れた患者さんへの体位説明などをしっかり行い、安全確保に努めています。
・網膜剥離の場合、当院は重症度の高い症例のご紹介も多く、他の眼科疾患よりも入院期間は長めとなっております。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030428xxxxxxxx 突発性難聴 74 7.78 8.55 0 62.28
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 71 7.04 7.53 0 15.32
030320xxxxxxxx 鼻中隔弯曲症 66 4.02 5.80 0 37.92
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 62 5.32 6.02 0 57.16
03001xxx99x30x 頭頸部悪性腫瘍 61 3.72 19.54 0 66.36
・2024年度耳鼻いんこう科で1番目多い疾患は突発性難聴です。2番目は慢性扁桃炎やIgA腎症、睡眠時無呼吸などで扁桃摘出を受ける患者さんなります。4番目の慢性副鼻腔炎は、内視鏡下の副鼻腔手術を行う患者さんになります。内視鏡下でナビゲーションシステムを併用することで、低侵襲かつ安全に施行しています。当院では重度の感音難聴にはステロイドを直接鼓室内に投与する治療や末梢循環改善のプロスタンディンを併用しています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 276 2.05 2.44 0 71.71
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 136 4.46 5.22 0 61.76
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 127 5.62 6.59 0 74.65
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 88 10.41 11.19 0 69.8
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 83 6 6.85 2.41 75.73
前立腺癌を診断するための前立腺の針生検は1泊2日で痛みがないように麻酔下に行っています。前立腺がんに対しては手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いて、より正確で低侵襲な手術を行っています。
腎や尿管の結石に対しては日帰りでできる体外衝撃波や内視鏡治療を中心に行っています。
膀胱がんに対して内視鏡を用いた手術を数多く行っています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 44 2.05 2.82 0 74.41
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 25 4.12 4.28 0 57.72
160200xx02000x 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 16 5.19 4.63 0 48.56
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 11 3.55 3.93 0 57.91
180060xx97xxxx その他の新生物 - - 5.77 - -
<眼瞼下垂>
眼瞼下垂は東洋人に多い疾患です。うわまぶたの下垂が高度になると頭痛や肩こりの原因になることが約20年前に報告されてからこの手術を希望する患者さんは増加傾向です。
眼瞼下垂のタイプはいくつかあり、患者さんの病態にあった術式を選択しお勧めするようにしています。
・挙筋前転術:まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)が緩んだり外れたりすることが下垂の原因の症例に施行します。
・その他:主に皮膚の余剰(たるみ)が下垂の原因になっている症例には眉毛の下で余剰な皮膚眼輪筋を切除する手術を行なっています。
いくつかの症例は上記のタイプが混在しており、両方の手術が必要になる事があります。
手術は通院でも可能ですが、術後の血腫/腫脹予防の為に患部のクーリングや安静が必要なため、1~2泊入院をお勧めすることが多いです。
<皮膚、皮下腫瘍摘出術><その他の新生物>
良性腫瘍は実に様々なタイプがあります。
・露出部:Tシャツ、半ズボンをはいたときに露出される部位にある腫瘍の事です。
・非露出部:上記と反対にTシャツ、半ズボンをはいたときに衣服に隠される部位にある腫瘍の事です。
良性腫瘍は上記の部位以外でも深度(皮膚にあるのか筋肉の中なのか)や腫瘍の大きさなどによって、術式が大きく異なり、入院も1~2泊から2週間程度までバラツキがあります。患者さんには術前の外来で患部の写真をとり、切除線や切除後の瘢痕、手術から術後の流れをできるだけ具体的にイメージ出来る様な説明を心がけています。
<骨軟部腫瘍>
最も多いのは脂肪腫です。多くの方は「脂肪の塊」と言うと「粉瘤」「顔のおでき」をイメージするようですが、実際には表面に見えにくいしこりです。マッサージなどしていて皮下のしこりに気づかれる事も多いです。痛みなどの自覚症状はほとんどなく、背中など見えない部位ではかなり大きくなってから発見されることも多い腫瘍です。サイズが大きく深部にある腫瘍では全身麻酔で2週間程度の入院が必要になることもあります。
<顔面損傷>
顔面、頭部の骨折や軟部損傷です。鼻骨骨折は最も多い顔面骨骨折ですがほとんどは入院せずに治療します。上顎や下顎の骨折は全身麻酔で手術することが多く、咬み合わせの調整なども必要になるため2週間程度の入院が必要になることもあります。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 56 2.79 7.22 0 80.64
080010xxxx0xxx 膿皮症 33 9.91 12.88 0 69.82
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 30 2.1 3.93 0 64.37
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 29 7.59 9.29 0 71.1
080210xxxxxxxx ざ瘡、皮膚の障害(その他) - - 12.61 - -
・ 帯状疱疹は汎発疹、顔面の三叉神経領域、外陰部など特殊部位、皮疹が広範囲に及ぶものなど入院としております。入院期間は1週間で退院される方が大部分です。
・ 皮膚悪性腫瘍はボーエン病や基底細胞癌、有棘細胞癌に対する手術以外にも悪性黒色腫等に対しても治療行っております。
・ 蜂窩織炎、丹毒、壊死性筋膜炎等の細菌感染症などの皮膚感染症も積極的に治療しております。
・ 皮膚良性腫瘍は1泊2日で入院手術しております。
・ 上記以外に皮膚科では、皮膚疾患全般の診療を行っておりますので皆様からの御紹介お待ちしております。今後とも宜しくお願い致します。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120260x001xxxx 分娩の異常(分娩時出血量2000ml未満) 95 9.6 9.31 1.05 33.06
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 82 5.77 6.00 0 51.23
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 66 5.12 5.93 0 44.82
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 64 2.06 2.96 0 43.34
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 62 8.74 10.10 1.61 57.74
当院は、難産の予想される症例(多胎、骨盤位、いわゆるさかご)などの地域の診療所からの紹介や、過去に帝王切開術や子宮筋腫などの子宮手術の経験がある妊婦様の予定帝王切開術が多くなってきています。近隣診療所や病院かかりつけの妊婦様の急変対応、コロナ感染の対応なども取り組んでいるため帝王切開症例数は多くなっています。28週からNICUの受け入れ可能であり、以前は遠方に搬送されていた地域の妊婦さんも当院で受け入れることができるようになっています。婦人科手術では毎週ダビンチや腹腔鏡による良性の子宮・卵巣手術、子宮体癌の手術などを実施しております。入院日数も短縮され患者様が速やかにお元気になり退院されるのを我々も喜んでおります。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) 63 6.29 8.60 0 1.37
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 61 5.43 6.07 0 0
040100xxxxx00x 喘息 29 6.45 6.37 0 2.45
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 28 9.36 11.01 0 0
140010x197x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 21 8.81 12.48 0 0
〇一般小児科
  外来では、午前中はかかりつけ患者さんの診療はもとより、開業医院の先生方からのご紹介も数多くお受けしています。午後は各種専門外来を展開しており、アレルギー外来、内分泌外来、神経外来、腎臓外来、心臓外来、発育外来など、各領域の専門医が診療にあたっています。また、臨床心理士による心理相談も随時行っており、不登校のお子さんの心もケアさせていただいています。
  入院が必要な場合は病棟での入院管理とさせていただき、必要時には大学病院やこども医療センターとも連携をとりながら、丁寧な医療を提供しております。
  
〇NICU
  早産の赤ちゃんや、満期産でも出生後に治療が必要となる赤ちゃんの全身管理を行っています。小児科医が24時間対応していますので、合併症をおもちの方もそうでない方も、すべての妊婦さんに安心してご出産いただけます。NICU入院中は看護スタッフがきめこまやかなケアを提供し、退院後ご自宅での育児にスムーズに取り組んでいただけるようサポートさせていただいています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 641 4.34 4.26 0 72.27
050070xx01x10x 頻脈性不整脈 509 4.21 6.06 0 66.56
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 479 4.18 3.25 0.42 71.37
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 318 3.01 3.05 0 70.45
050130xx9900x0 心不全 134 15.56 17.38 11.19 84.29
・ 横須賀共済病院 循環器内科では、カテーテル心筋焼灼術・植え込み型除細動器(ICD)・ペースメーカー・両心室ペースメーカー・心カテーテル治療(PCI)・PTCA・ステント・DCA・ロータブレーター・バイパス等さまざまな症例に対応しており、症例数も多くなっています。
・ 我々スタッフは、患者様の症状を改善するために24時間体制で診療しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 83 14 22 38 9 10
大腸癌 62 70 90 56 33 41
乳癌 67 60 16 10 3 18
肺癌 138 53 100 243 122 240
肝癌 3 18 14 16 7 52
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
胃癌、大腸癌の患者さんに対しては、外科・消化器内科で診療を行っています。胃癌は早期の症例は内視鏡治療を行っています。内視鏡治療では根治できない、比較的早期の症例は、腹腔鏡手術で治療を行っています。
大腸癌の手術はほぼ全例で腹腔鏡下手術を行っています。早期の大腸癌は手術のみにより、根治が得られますが、進行大腸癌に関しては、術前あるいは術後に、化学療法も併用しています。腹腔鏡手術による低侵襲のため在院期間は12日程度で、非常に短くなっています。胃癌の症例で内視鏡的切除では、治すことのできない早期癌の症例では、腹腔鏡下の手術を行っています。この場合も早期の退院が可能です。ある程度の進行した胃癌に関しては、開腹による手術を行っています。

乳癌は、乳房を温存する手術を基本とし、リンパ節転移を調べるために、従来の色素法だけでなくラジオアイソトープを用いたセンチネルリンパ節の検索も行っています。外科における癌治療は、侵襲は極力少なく、根治性の高い治療を皆様に提供しています。
肺癌の患者様に対しては、おもに呼吸器内科・外科、病理科、放射線科、化学療法室、緩和ケア部門で診療を担当しています。大きく分けて、診断、病期判定のための検査を呼吸器内科で管轄し、画像診断、病理組織診断の結果を待ち、キャンサーボードの場で個々の患者様の体力、ADL、PSも加味して治療方針決定(外科手術になりうる患者さんでは手術適応の決定)を行っています。非小細胞肺癌で、手術適応があり、患者様が手術を希望された場合には、肺癌診療のガイドラインにしたがって適切な手術術式を選択しています。その他の病期の患者様と小細胞肺癌症例では化学療法、放射線治療と緩和ケア療法のいずれか、ないしそれらの組み合わせによる治療を行っています。

また、診療圏の特性より病期分類ならびに再発患者数に全国平均やがん治療専門施設とは異なる特徴がありますので解説致します。
第一に、当院の属する横須賀三浦二次医療圏では、高齢者ならびに喫煙者、過去喫煙者が多いことが挙げられます。
このため、医療機関にかかるのが遅れたり、折角ご紹介をいただいても、精密検査を受けるのが億劫である、ないし気分が載らないなどの、患者サイドでの遅れが生じることも比率が高いようです。(StageⅣが多いことの1つの理由)
第二に、心血管疾患、脳血管疾患、慢性呼吸器疾患を併発している患者様の比率も高く、その気があっても精密検査に至らない、辞退してしまう、検査に耐えられず中途で終わるなどで進行度の評価が困難である比率(Stage不明者が多い)も増えています。
第三に、治療(手術ならびに化学療法)を行うのに到達しても、手術では根治術が充分出来ない患者様も少なくはない。
さらには併存疾患のため、内科的に充分な化学療法ができない、ないし術後補助化学療法が出来ない患者様も多く、したがって再発例も多くなりがちな傾向です。

肝癌はステージや肝機能・病変部位により手術・局所療法(ラジオ波焼灼焼灼療法)・肝動脈塞栓術など治療法を決定します。当院は様々なステージの患者さんが紹介来院するため、治療法や予後も様々になります。また、背景に慢性肝疾患を認めることが多く高率に再発します。そのため、定期的な画像検査を施行しその都度最適な治療法を選択します。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
成人の市中肺炎の患者さんを重症度毎に集計しています。

【定義】
・市中肺炎を、ICD-10毎に集計しています。
・市中肺炎とは普段の生活を送っている中でかかる肺炎のことです。
・令和5年4月1日~令和6年3月31日の期間に退院した症例から重症度毎に集計しています。
・症例数が10件未満のものは「-(ハイフン)」表記となっています。
・重症度分類は成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類A-DROPスコアを用いています。
・20才未満は集計対象外です。
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 30 10.73 56.80
中等症 240 15.91 78.56
重症 74 17.28 82.82
超重症 22 15.64 77.36
不明 0 0 0
【定義】
・ 市中肺炎とは普段の生活を送っている中でかかる肺炎のことです。
・ 令和5年4月1日~令和6年3月31日の期間に退院した症例から重症度毎に集計しています。
・ 症例数が10件未満のものは「-(ハイフン)」表記となっています。
・ 重症度分類は成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類A-DROPスコアを
用いています。
・ 20才未満は集計対象外です。
・ 入院の契機病名および最も医療資源を投入した傷病名が肺炎であって、さらにその中でも ICD10コードが
J13~J18 で 始まる患者さんに限定しています。

【解説】
患者数が最も多いのは中等症の240件となっています。また、軽症の患者さんの平均年齢は約57歳ですが、重症度に相関して平均年齢も上がります。
救急患者の受け入れやCOVID-19の影響で当院のような基幹病院に患者が集中する傾向にあり、昨年と比較して大幅に増加しています。
その他の疾病を含め多くの緊急入院患者さんを受け入れるために、市中肺炎の患者さんは治療状況を確認しつつ、自宅退院もしくは連携している病院へ転院して頂いています。転院後も治療継続できる体制になっています。

脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 498 19.42 76.38 46.37
その他 11 10.00 72.00 0.00
・ 脳梗塞は、主に脳神経外科と脳神経内科が入院の担当し、24時間365日随時受け入れを行っています。
・ 発症早期の中等症から重症(重い麻痺や、言葉が出ない、意識が悪い)脳梗塞に対して、血栓溶解療法(血栓を溶かす点滴薬)や、血栓回収術(カテーテルを用いて血栓を回収し、つまった場所を再開通させる)の有効性が確立されています。血栓回収術は脳神経外科が治療を行います。
・ 原因として、主に心房細動、動脈硬化症による狭窄症、穿通枝(細い血管)障害があり、原因に応じた再発予防治療が必要となります。共通するのは高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙などの生活習慣病です。
・ 当院での急性期治療後、数ヶ月にわたる継続した入院リハビリテーションを必要とする患者さんなど、ご自宅へ帰るのが困難な方は、家族の方を含めて院内ケースワーカーと面談して頂き、その後の転院先について相談し、ご紹介します。リハビリテーションや療養を継続していただきます。
・ 皆様方にご安心いただけるように、治療内容やリハビリの進捗状況などを記載した「神奈川県共通脳卒中パス」を利用し、転院先との情報共有に努めております。

以下のような症状が急に生じた場合には脳卒中が疑われます。脳卒中の中で、患者数が多い病気は脳梗塞です。他、脳出血やくも膜下出血の可能性があり、可及的早期の診断、治療を必要とします。
①片側の顔がゆがんだ。
②片側の手足に力が入らない。
③呂律が回らない。
④ひどい頭痛(経験したことのないような頭の痛み)
このような場合、救急車を要請し来院してください。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 515 1.28 2.4 0 66.46
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 420 2.03 2.65 0.71 71.42
K5481 経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル) 156 2.66 3.38 0.64 75.36
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 144 1.94 3.27 1.39 75.17
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 103 1.36 2.21 0 72.92
経皮的カテーテル心筋焼灼術
当院におけるカテーテル心筋焼灼術症例の内、約80%が心房細動症例であり、最近10年間の心房細動アブレーション患者総数(実数)は7000例を超えています。その長期成績(5年以上)は、発作性心房細動で90%、持続性心房細動で75%の症例で心房細動抑制率を示しています。また、手術時間は、発作性心房細動で2-3時間、持続性心房細動で3-4時間であり、また、独自の合併症対策による安全なアブレーションが可能となっており、本アブレーションは、当院において通常の治療となっています。最近では、多くの病院で心房細動アブレーションが行われるようになっているためか、他院での不成功例や他院で諦められた患者様を紹介されることが増えており、これら患者様においても約80%の成績を維持しています。
その背景には、当院で考案し、現在、全世界で施行されている拡大肺静脈隔離法を確実に行い、これを基礎に、その他の原因部位の徹底的な検索および焼灼を行う方法を継続していることが、当院において心房細動アブレーションが日常の治療となっている理由です。

カテーテル心筋焼灼術のためのカテーテル室は、3室稼動しており、各部屋には、最新の三次元マッピングシステムを装備しています。最も難しいとされる心房細動アブレーションを施行可能な医師が6名在籍し、1日に平均4例の心房細動アブレーションを行ない、治療はもとより、医師の指導体制や看護師・臨床工学士・放射線技師とのチーム体制も充実させています。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 373 0.01 1.03 0 70
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 142 2.16 7.27 1.41 75.76
K654 内視鏡的消化管止血術 106 0.47 8.61 8.49 75.55
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 106 1.69 10.06 2.83 78.46
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 70 0.1 1.17 0 67.66
消化器内科で最も施行されている手術は内視鏡的大腸ポリープ粘膜切除術です。午後に下部消化管内視鏡(大腸カメラ)を施行し、その後入院し、特別合併症がなければ翌日退院(1泊2日)になります。
その次に多い手術は内視鏡的乳頭切開術です。総胆管結石などの治療のために乳頭を内視鏡的に切開し結石などを排除します。
3番目に多い手術は内視鏡的胆道ステント留置術、内視鏡的消化管止血術です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍などからの出血を内視鏡的に止血します。主に緊急処置として施行します。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 126 3.52 3.68 2.38 69.9
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 24 2.08 6.17 0 69.42
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 18 4.22 7.33 5.56 72.89
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施) - - - - -
K6072 血管結紮術(その他) - - - - -
内シャント(バスキュラーアクセス)は、血液透析を行う上で必要な、透析専用の血管です。血液透析では、毎回2カ所に針を刺す(穿刺)必要があります。血液を透析回路に導くための穿刺と、回路を通じて不要な物質や水分を除去した血液を体内に戻すための穿刺です。腎臓内科では、この内シャントを作成する手術を行っています。内シャント手術は、ご自分の腕の動脈と静脈をつなげて流れの良い動脈の血液が直接静脈へ流れるようにするものです。それにより、静脈の流れが良くなり、血管が太く発達することで、血液透析の際の穿刺が容易となり、透析に必要な血液の確保が可能となります。その一方、ご自分の血管だけでこの内シャントを作成できないことがあります。そのような場合には、人工血管を使用してシャントを作成したり、深い位置を走行する動脈を皮膚のすぐ下に持ち上げて穿刺できるようにする、動脈表在化手術を行います。残念ながら、1度のシャントの手術で永久的に使用できるものではなく、問題が生じた際には対応が必要となります。血管が一部細くなった場合には、経皮的シャント拡張術(風船のついたカテーテルでの治療)が必要となったり、シャント閉塞(シャント血流が途絶)してしまった場合には、カテーテルで固まってしまった血栓を除去する手術が必要となります。このようなカテーテル治療やシャント閉塞を繰り返す場合、他の部位に改めて内シャントを作成しなおす場合もあります。
その他、当院では外来での内シャント手術やシャントカテーテル治療なども、症例に応じて実施しています。腹膜透析カテーテル留置についても、症例数は少ないですが、腎臓内科で実施しています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 190 1.13 2.12 1.58 71.75
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 128 1.35 4.65 1.56 67.07
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 122 3.66 7.89 0.82 72.46
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 64 1.06 2.42 0 65.45
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 62 1.55 5.05 0 69.05
外科で最も手術が多いのは、鼠径ヘルニア(脱腸)の手術です。腹腔鏡による場合と、皮膚を切開して行う場合があり、年齢・状態などを考慮して手術法を検討しています。術後2-3日での退院となります。また,日帰り手術センターを開設いたしましたので,手術当日に来院していただき,手術を行い,1泊の入院でご帰宅いただけることが可能になりました。
2番目は胆嚢結石症などの腹腔鏡下手術です。通常の腹腔鏡手術に加えて、若年女性には整容性の高い単孔式(通常の腹腔鏡下手術は4孔)の手術も行っています。術前日に入院していただき、早い人は術後2日目で退院します。
それとほとんど同数なのが、乳癌の手術です。術後形成外科の再建があるかないかで入院日数は変わりますが、術前日に入院して頂き、術後2-5日で退院します。
当科の年間手術数は1500例で、上記以外に多数の疾患に多数の手術治療を行っています。
また、当科ではにクリニカルパス(治療の予定表の様なもの)を用意しています。患者様にご自分の病気とその治療についてクリニカルパスを用いて説明させていただき、ご理解いただいて効率的に安全な治療が行えるようにしています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 83 0.48 13.17 31.33 80.83
K178-4 経皮的脳血栓回収術 59 0.19 26.19 79.66 80.92
K1781 脳血管内手術(1箇所) 42 1.67 12.36 16.67 64.64
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 35 2.97 7 14.29 77.97
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 31 1.87 19.42 25.81 68.65
・ 頭部外傷の約1‐2か月後に頭蓋骨と脳の間に血液が徐々に溜まってきている病態を慢性硬膜下血腫と言います。血腫が増えて脳が圧迫されると、麻痺などの症状が出るため、「慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術」によってこの血腫を洗い流す必要があります。高齢者に多い病気ですが、早期発見により回復が得られ、10日程度で退院されます。

・ 脳梗塞で太い血管が詰まっている場合は、症状が重く、後遺症を残す可能性が高いため、発症直後であればカテーテルを用いて機械的に血栓を除去します。これが「経皮的血栓回収術」であり、発症後早期の診断・治療により後遺症軽減への有効性が報告されています。再開通までの時間短縮を図る必要があり、脳神経外科・脳神経内科だけでなく病院全体で取り組んでいます。
・ 脳梗塞の主原因の一つとして、内頚動脈狭窄症があります。頚部の内頚動脈の内膜が厚くなり、通りが狭窄している状態です。脳梗塞を生じ発見される場合と、頚動脈エコーやMRIなどで予め発見される場合があります。狭窄度合いが高いほど、脳梗塞発症の危険が高まるため、拡張を図るために「経皮的頚動脈ステント留置術」を行います。
.「脳血管内手術」はカテーテルを用いた手術手技のことで、主なものは脳動脈瘤に対するコイル塞栓術です。脳動脈瘤は破裂によりくも膜下出血を引き起こします。一度破裂すると高い確率で再破裂を生じ状態が悪化するため、再破裂を予防する治療が必要となります。未破裂の状態でも、出血の可能性を検討し、破裂予防の治療が必要となります。開頭クリッピング術とどちらが有効性・安全性に秀でているかを患者さんごとに検討し、治療法を選択します。他、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻に対する塞栓術があります。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 25 3.64 11.6 4 77.68
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 17 2.71 11.71 5.88 70.59
K5551 弁置換術(1弁) 14 4.64 18.36 0 70.64
K5943 不整脈手術(メイズ手術) - - - - -
K5607 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(その他)) - - - - -
弁膜症や虚血性心疾患の予定手術では、手術の3から4日前に入院していただき、手術後は2から3週間ほどで退院されるかたがほとんどです。
しかし、心臓の病気が悪化し、心不全となって緊急入院してしまうと、薬物治療で心不全が落ち着いても、心臓の病気のため自宅退院はできず、そのままの入院で手術が必要となるかたも増えています。そうなると、手術後の回復も遅くなり、入院期間が延びてしまいます。
心臓や大血管の病気は,無症状や軽症のとき、病勢が悪化する前に、適切な治療を行うことが、早期回復への近道です。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 52 1.67 4.81 0 70.79
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 39 1.79 8.21 0 72.05
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 30 5.77 4.4 0 46.97
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 22 1.95 8.68 0 74.41
K5143 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 17 3.29 9.82 0 72.76
診療科別 主要手術の手術名称別 トップ5について ;呼吸器外科:
はじめに:これより先のデータも、あくまで手術点数コードより検索した結果ですので、本来の疾患分類ではありません。しかし、上位、1、2、4位は、肺の悪性腫瘍(①原発性肺癌と②転移性肺腫瘍)に対する、胸腔鏡下およびロボット支援下での手術です。
第3位のK5131は、気胸に対する(胸腔鏡下で行う)肺嚢胞手術です。
第5位のK5143は、肺の悪性腫瘍(おもに原発性肺癌)に対する、開胸下での肺葉切除または1肺葉を超える切除術です。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 225 2.81 16.3 34.22 78.6
K0462 骨折観血的手術(前腕) 128 2.48 6.66 9.38 60.52
K0811 人工骨頭挿入術(股) 123 3.89 19.68 45.53 83.19
K0821 人工関節置換術(股) 93 2.03 18.67 3.23 74.91
K0463 骨折観血的手術(鎖骨) 52 1.62 3.73 0 54.52
当院整形外科では、股関節近位部での骨折で手術を受ける患者さんが最も多くなっています。骨を接合する手術と人工の骨頭に取り換える手術の2種類がありますが、いずれも高齢の方が多いため、入院期間が長くなってしまいます。最近では地域連携パスも利用して、リハビリ病院に転院される方の割合も多くなっています。
下腿の骨折に対して手術を受けられる患者さんも多いですが、大腿骨の骨折に比べると比較的若い年齢の方が多いため、比較的早期に自宅へ退院されています。
人工股関節置換術は股関節の変形性関節症や骨折に対して行われることが多く、変形性関節症の患者さんでは2週間程度で自宅へ退院可能となっています。骨折で手術をされた方はリハビリに期間を要することもあり、リハビリ病院への転院をしています。
上肢骨折の手術患者については、術後早期に退院することが多くなっています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 582 0.08 1.02 0 76.69
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 96 0.8 4.39 0 65.73
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 29 0.69 2.14 0 66.52
K275 網膜復位術 17 0.59 5.59 0 50.41
K279 硝子体切除術 - - - - -
・眼科で最も多い手術は、白内障に対する水晶体再建術です。日帰り・入院どちらにも対応しています。全身合併症のある症例や手術難易度の高い症例の場合は基本入院手術(1泊2日)で行っています。先進療養の多焦点眼内レンズにも対応しています。
・次いで多いのが硝子体茎顕微鏡下離断術です。増殖糖尿病網膜症や網膜剥離、黄斑円孔や黄斑前膜などに対する手術になります。患者様の年齢と眼の状態により、白内障に対する水晶体再建術と同時に行うことがあります。同時手術の件数はここではカウントしていません。この硝子体の手術は、機器の進歩もあり、小切開かつ効率のよい手術が可能となり、眼に対する負担も以前より少なくなっています。
・重度の網膜剥離や増殖糖尿病網膜症・増殖硝子体網膜症に対する手術にも対応しております。
・網膜剥離の治療は、硝子体手術とバックルを使用する網膜復位術を、症例ごとに適切に使い分けています。
・いずれの症例も近隣施設からのご紹介で手術しており、術後は安定期に入れば紹介元に逆紹介させていただき、病診連携を図っております。したがって退院後そのまま転院する方はおりません。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K347 鼻中隔矯正術 80 1 1.86 0 38.36
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 44 1 5.55 0 27.11
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 43 1 3.33 0 57.67
K370 アデノイド切除術 37 1 5.05 0 6.86
K6262 リンパ節摘出術(長径3cm以上) 24 0.21 1.38 0 72.46
小児無呼吸の原因になるアデノイド・扁桃摘出術を積極的に施行している。成人の鼻閉改善手術、鼻副鼻腔炎の内視鏡手術も多く行っている。癌拠点病院でもあり、頭頸部悪性腫瘍の治療、手術も施行している。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 226 1.32 3.66 0.88 75.19
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 134 1.14 2.34 0 62.13
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 89 1.03 8.4 0 69.84
K764 経皮的尿路結石除去術(経皮的腎瘻造設術を含む) 71 3.42 4.69 0 59.96
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 45 0.49 10.47 2.22 70.96
膀胱がんに対して内視鏡を用いた手術を数多く行っています。 腎や尿管の結石に対しては日帰りでできる体外衝撃波や内視鏡治療を行っています。 前立腺がんに対しては手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いて、より正確で低侵襲な手術を行っています。 腎がんに対する腎分切除や膀胱癌にたいする膀胱全摘にも低侵襲な手術支援ロボット(ダヴィンチ)を行っています。
前立腺肥大症に対しては出血が少なく低侵襲であるレーザーや電気凝固を用いた内視鏡手術を多くおこなっています。
腎や尿管の結石に対しては日帰りでできる体外衝撃波や内視鏡治療を行っています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2193 眼瞼下垂症手術(その他) 26 0 1 0 73.65
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 20 0 1.1 0 73.9
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満) 12 0.75 2.25 0 65.58
K427 頬骨骨折観血的整復術 11 1.36 3.55 0 53.27
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) - - - - -
<眼瞼下垂>
眼瞼下垂は東洋人に多い疾患です。うわまぶたの下垂が高度になると頭痛や肩こりの原因になることが約20年前に報告されてからこの手術を希望する患者さんは増加傾向です。
眼瞼下垂のタイプはいくつかあり、患者さんの病態にあった術式を選択しお勧めするようにしています。
・挙筋前転術:まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)が緩んだり外れたりすることが下垂の原因の症例に施行します。
・その他:主に皮膚の余剰(たるみ)が下垂の原因になっている症例には眉毛の下で余剰な皮膚眼輪筋を切除する手術を行なっています。
いくつかの症例は上記のタイプが混在しており、両方の手術が必要になる事があります。
手術は通院でも可能ですが、術後の血腫/腫脹予防の為に患部のクーリングや安静が必要なため、1~2泊入院をお勧めすることが多いです。
<皮膚悪性腫瘍切除>
皮膚の悪性腫瘍は残念ながら近年増加している疾患のひとつです。手術に際しては手術部位の写真を撮って手術でどこを切除するかを具体的にお話しするように心がけています。術後の化学療法などは皮膚科と相談しながら行なっており、少しでも安心して治療を受けていただけるように努めています。
<皮膚、皮下腫瘍摘出術>
良性腫瘍は実に様々なタイプがあります。
・露出部:Tシャツ、半ズボンをはいたときに露出される部位にある腫瘍の事です。
・非露出部:上記と反対にTシャツ、半ズボンをはいたときに衣服に隠される部位にある腫瘍の事です。
良性腫瘍は上記の部位以外でも深度(皮膚にあるのか筋肉の中なのか)や腫瘍の大きさなどによって、術式が大きく異なり、入院も1~2泊から2週間程度までバラツキがあります。患者さんには術前の外来で患部の写真をとり、切除線や切除後の瘢痕、手術から術後の流れをできるだけ具体的にイメージ出来る様な説明を心がけています。

各科別の手術件数にはなかなか現れにくいですが、外科系他科との合同手術(再建手術など)が多い事も当院の特徴です。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 60 0.02 1.53 0 80.68
K0064 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径12cm以上) 11 0.27 1.73 0 51.73
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) 10 0.1 1 0 65.8
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満) - - - - -
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(躯幹) - - - - -
・皮膚科では主に皮膚腫瘍に対して手術を行っております。
・手術症例で多いのは皮膚悪性腫瘍切除です。悪性腫瘍はボーエン病、日光角化症、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫、乳房外Paget病が主なものになっております。
・皮膚悪性腫瘍の手術対象者は高齢者が多くをしめるため短期入院を心がけております。
・良性腫瘍は、サイズの大きなものや外陰部のものなどは入院で行うことが多いです。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 104 1.15 3.88 0 49.79
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 86 6.05 6.99 1.16 32.35
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 78 1.08 3.91 0 48.58
K867 子宮頸部(腟部)切除術 66 1 0.05 0 43.89
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 63 4.44 6.32 0 34.1
子宮筋腫や子宮腺筋症、卵巣腫瘍などの良性疾患ではほとんどが腹腔鏡下手術で行われ、子宮脱に対する腹腔鏡手術にも積極的に取り組んでいます。 2018年度よりロボット支援下手術を開始し、その手術症例数も増えてきています(腹腔鏡手術に含まれています)。全体として、婦人科手術はより侵襲が少ない方向に進んでいます。また当院では周産期基幹病院として、低リスクの妊婦さんから難産が予想されるハイリスク妊婦さんの分娩を初診からでも取り扱っています。一昨年度よりNICUの受け入れが28週早産児より可能となり、よりハイリスクな妊婦さんも当院で分娩できることが増えました。そのため予定の帝王切開、緊急の帝王切開ともに多い傾向があります。次いで多い子宮頸部の切除術は、子宮頸部の初期癌や異形成などの治療で、術後に子宮を残し出産可能とするための大切な手術です。10名中7名が女性医師の体制であり、丁寧な診療を心がけております。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 20 0.10
異なる 16 0.08
180010 敗血症 同一 104 052
異なる 114 0.57
180035 その他の真菌感染症 同一 6 0.03
異なる 5 0.0.3
180040 手術・処置等の合併症 同一 7 0.04
異なる 46 0.23
定義
・ 患者数の数え方は、1入院毎です。同一の患者が2回入院した場合は、2件で集計しています。
・ 上記4つの傷病名は世界保健機関(WHO)が作成した疾病分類(ICD-10)をもとに集計しています。
・ 入院契機病名とは、入院のきっかけとなった傷病名を指します。
・ 異なる・同一の判定はICD-10コードで判定しています。
・ 発症率は全患者数のうち、該当患者がどのくらいの割合いるかを指しています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
2603 2370 91.05
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
5902 5009 84.87
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
2609 2257 86.51
更新履歴
2024.09.26