呼吸器外科

お知らせ

初診で受診される際は、紹介状と地域連携科からの予約が必要です。

ご紹介いただく先生方へ

当科にご紹介いただく際は、お手数ですが地域連携科(直通TEL:046-827-1117 FAX:046-823-5020)を通して予約をお取りいただけますようお願い申し上げます。
なお、緊急を要する場合においては、この限りではございません。

また、急患受診の際には、夜間・休日ないし、手術中ですぐに呼吸器外科スタッフが対応できない場合もあり、救急科ないし呼吸器(内科)当直が対応させていただく場合があります。
来院前にお電話してください。

ご紹介

当科紹介

呼吸器外科では主に胸部(肺、気管支、胸膜、胸壁、横隔膜、縦隔など)に発生した疾患に対する手術治療を専門として扱います。対象疾患は多岐にわたり、胸部の手術治療を必要とする疾患(心臓、血管を除く)の大半は当科の担当となります。また、手術治療のみならず、肺癌に対する抗癌剤治療など、対象疾患に対する手術以外の治療にも力をいれております。

現在、当科での手術の大半は胸腔鏡手術(カメラを使用した、創部の小さな手術)にておこなっております。この手術方法により、術後の痛み軽減、整容性、入院期間の短縮などの結果が得られています。なお患者様の疾患、症状によっては従来の開胸手術(皮膚を20~30cm切開し、肋骨を切離して外科医が実際に胸の中に手を入れて行う手術)をおこなっております。

現在部長の諸星の他3名、計4名(呼吸器外科指導医1名、呼吸器外科専門医1名)にて日常診療にあたっております。患者様の疾患、症状などに合わせ、呼吸器内科、病理科、放射線科など関係各科と緊密に連携し、患者様に最適な医療をお届けするよう心がけております。

おかげさまで三浦半島を中心に、クリニック、病院より多くの患者さんをご紹介いただいております。今後も変わらず、患者様の立場に立った、心の通った医療を心がけていきたいと考えております。

主な取り扱い疾患

①原発性肺癌
近年、肺癌の増加は著しく、部位別がん罹患率を男女別にみると、 男性では胃癌、大腸癌に続き、 肺癌は第3位となっています。女性では乳癌、 大腸癌、 胃癌についで第4位が肺癌となっています。今後もしばらくは患者数の増加が予想されています。

肺癌には様々なタイプが存在しますが、大きく分けて小細胞肺癌と非小細胞肺癌の2つのタイプに大別されます。小細胞肺癌の治療は抗癌剤や放射線治療が中心となり、非小細胞肺癌の治療の中心は手術治療となります。呼吸器外科で手術を施行される患者さんの大半が非小細胞肺癌の患者さんです。
非小細胞肺癌には腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、その他の組織型が含まれます。

術前に気管支鏡検査(空気の通り道である気管にカメラを挿入する検査)などで肺癌の診断がついている場合は、胸部Ⅹ線検査、血液検査、胸部CT検査などの全身の検査を施行します。また近年ではFDG-PET検査なども追加で施行し、より正確な病期診断(肺癌の進行度)を行います。また、腫瘍が発生した場所によっては気管支鏡検査が困難な場合があったり、また、気管支鏡検査を施行しても診断がつかない可能性もあります。その場合も、診断と治療を兼ねた手術を検討します。

肺癌の病期(進行度)はTNM分類によって決定されます。T因子(腫瘍自体の大きさや、周囲への進展具合で決定)、N因子(リンパ節転移の拡がり具合で決定)、M因子(遠隔臓器への拡がり具合で決定)を術前の画像検査などから決定すると、その組み合わせで肺癌のstage(進行度)の番号が決まります。Stageは0期からⅣ期までに分類(さらにそれぞれの番号は細分化)されます。そのうちStage0期からⅡ期までとⅢ期の一部が主に手術の対象となります。

当科では肺癌に対する手術を施行する場合、可能な状況では2000年より導入している胸腔鏡手術を取り入れ、身体にやさしい手術を提供しています。胸腔鏡手術とは3~6cmの傷を1か所、1~2㎝の傷を2~3か所あけ、胸腔鏡と言うカメラを胸の中に挿入し、胸の中の様子をテレビ画面に映し出して、外科医がその画面をみながら手術を施行する手術です。年間手術のうち約80%を胸腔鏡手術で行っています。回復が早く、入院期間の短縮と社会復帰の早期実現につながり、医療費の抑制にもつながると自負しています。入院期間は、手術後約1週間程度です。なお肺癌の根治性が損なわれる場合や、胸腔鏡手術が困難な症例では、創部を大きく開け、外科医が実際に胸の中に手を入れて行う開胸手術を選択する場合もあります。呼吸器外科全員で毎週施行しているカンファランスで、患者様の病状に最も適した手術アプローチ、手術術式について決定しております。また、手術の対象とならない肺癌患者様に対する治療に関しても、呼吸器内科をはじめとした、関連各所と緊密に連携し積極的に当科で治療をおこなっております。

胸腔鏡手術風景(手術内容により傷の大きさ、位置は異なります)
胸腔鏡手術風景

②転移性肺腫瘍
肺以外の臓器に発生した悪性腫瘍が血流やリンパ液の流れに乗って肺に拡がった状態です。転移性肺腫瘍は肺に腫瘍がありますが、その疾患特性はもともとの悪性腫瘍が発生した場所により決まります。肺転移を起こす可能性がある悪性腫瘍は、消化器系の癌、乳癌、婦人科系の癌、骨軟部腫瘍など、ほとんどの悪性腫瘍が肺転移を起こす可能性があります。疾患によっては、肺転移をおこした場合の治療の中心が手術になる場合もありますし、手術以外の治療(抗癌剤など)が中心となる場合もあります。
当科では当院他科で治療中の患者はもちろん、他院からの紹介患者も積極的に受け入れています。
本疾患に対する手術も、多くのケースで胸腔鏡手術で行っています。入院期間は、手術後約1週間弱(4〜5日程度)です。基本的に手術が終了し、退院した後は、元々の悪性腫瘍の治療の専門である、紹介元へと戻っていただく事になります。

③良性肺腫瘍
①②の悪性腫瘍と比べると、数は少ないですが、大よそ年間十数名の方がこの疾患に該当して手術(やはりそのほとんどが胸腔鏡手術です)をうけられていらっしゃいます。入院期間は、手術後約1週間弱(4〜5日程度)です。

④自然気胸
肺の表面に壁が薄くなった部分(嚢胞、ブラなどと呼ばれます)が存在し、なんらかのきっかけで、それらに穴が開くことで発症します。肺の表面になぜ壁が薄い部分が生じてしまうのかについてははっきりわかっていません。比較的若年者の高身長、やせ形の男性に多いと言われる疾患です。肺から漏れ出した空気が胸の中にたまり、たまった空気により肺が圧迫され、虚脱しまう疾患です。症状としては肺が虚脱してしまうので、程度に差はありますが呼吸が苦しくなります。その他、胸に痛みが出ることもあります。また肺の虚脱の程度によって軽症、中等症、重症の3段階にわけられます。

右側中等度気胸のxp(黄色の矢印の部位まで右肺虚脱している)
胸腔鏡手術風景

軽症の場合は外来で経過観察する場合もありますが、中等症以上では原則脱気(胸の中にたまった空気を外に逃がすこと)のため胸腔ドレーンというチューブを胸に挿入する必要があります。入院でおこなわれる事が多いですが、患者さんの希望や重症度を考慮して、携帯型のドレーンチューブを挿入することによって外来通院が可能な場合もあります。肺が拡張し、肺からの空気もれが止まれば、いったん治療終了ですが、気胸は非常にしつこい病気です。上記治療で改善しても、多くの患者さんが再発をおこします。また気胸はありふれた疾患でありますが、適切な対処を行わない場合、呼吸不全により生命に関わることもある疾患でもあります(逆に言えば、適切な処置を行えば、それほど危険な疾患ではありません)。再発率を抑えるために、当科では積極的に手術をおこなっております。手術を施行するべき条件は下記となります。

  1. 2回目以降の再発の方
  2. 両側の気胸を発症した方(同時でも、時期はずれていても)
  3. 気胸にともない胸の中で出血し、一定量以上の出血を認める方
  4. 肺からの空気漏れがある一定期間以上持続する方
  5. 患者さんが希望される場合
上記条件にあてはまる場合、積極的に手術をお勧めしています。胸腔鏡手術で手術後は数日の入院となります。慢性肺疾患を合併されているような高齢の方に気胸が発生することもありますが、この場合は若年者に発生する気胸と多少治療方針や手術内容が変わることがあります。

なお少数でありますが、前述の肺表面の壁の薄い部分が破裂するという機序とは違った原因にて発症する特殊な気胸もあります。当科では特殊な気胸に対する治療経験も豊富で、気胸の原因に最も適した治療法のご提案が可能です。

⑤縦隔腫瘍
縦隔とは左右の肺に挟まれた胸部の真ん中の部位を指す用語です。縦隔には心臓、心臓からつながる大血管、食道、気管など重要な臓器が含まれています。その縦隔に発生する腫瘍を縦隔腫瘍と言います。縦隔腫瘍の種類は多岐にわたり、良性の腫瘍、悪性の腫瘍、悪性の物の中でも、進行が非常にゆっくりな物から、急速に増大する腫瘍まで種類によって千差万別です。治療に関しても、手術治療が中心となる腫瘍から、抗がん剤や放射線治療が中心となるものまで多様です。

当科にて扱うことが多い縦隔腫瘍の一つとして、縦隔の前方(前縦隔)に発生する胸腺腫という疾患があります。進行は緩徐でありますが、経年変化で増大、転移、播種などを起こす低悪性度の腫瘍です。従来胸腺腫の手術は前胸部に存在する胸骨というプレート状の骨を縦方向に真ん中で大きく切離する胸骨正中切開というアプローチ法で手術されていましたが、近年、胸腔鏡を用いた低侵襲手術も導入されております。当科でもある一定の条件を満たす胸腺腫に対しては積極的に胸腔鏡での手術を実施しています。なお病状によっては従来の胸骨正中切開での手術を現在もおこなっています。その他縦隔腫瘍には胚細胞性腫瘍、胸腺癌、奇形腫、悪性リンパ腫などがありますが、それぞれの疾患に最も適した治療法を提供しております。良性腫瘍では、多くのケースで胸腔鏡手術で行っています。

⑥その他感染性疾患(膿胸、縦隔炎など)
胸部に発生する感染性疾患には膿胸や縦隔炎などがあります。肺がはいっている胸腔と呼ばれる箱の中に感染をおこした状態が膿胸と呼ばれます。感染に対する治療薬である抗生物質の進歩は目覚ましく、多くの感染症が薬剤によって治療されておりますが、膿胸は薬剤治療が奏功しないことが比較的多い感染症です。その場合手術治療として当科が治療を担当します。手術は胸腔内に溜まった膿を摘出し、胸腔内を洗浄するのを目的として行います。近年は膿胸手術においても可能な症例では積極的に胸腔鏡手術でおこなっています。定型的な手術と比較し、より外科医の経験などが重要とされる手術でありますが、当科では、同疾患に対しても経験豊富な指導医のもと治療にあたり、良好な治療成績を収めています。

⑦(悪性)胸膜中皮腫
主にアスベスト(石綿)曝露により発症する胸膜の腫瘍です。胸膜とは肺の表面を覆う臓側胸膜と、胸の中の内側の壁を覆う壁側胸膜に分かれます。胸膜中皮腫は初期には壁側胸膜から発症し、胸腔内に広がっていきます。アスベストは1960年代から使用が急増し、その優れた耐熱性などの性質のため、断熱材として、2006年9月にアスベスト全面使用禁止となるまで、建材などに広く使用されておりました。(下欄の解説もご覧ください。)

胸膜中皮腫はアスベスト曝露より数十年の潜伏期間をおいて発症する疾患です。治療法には手術治療、放射線治療、抗癌剤治療などの選択肢がありますが、複数の治療法を組み合わせ、集学的治療を行うことが多い疾患です。どの治療法が選択されるかは患者様の病状、全身状態などにより決定されます。手術には診断的な意味合いの胸腔鏡下生検や、治療的な手術として、胸膜と患側肺をすべて摘出する胸膜肺全摘術(EPP)、壁側胸膜、臓側胸膜、横隔膜などを切除する胸膜剝皮術(P/D)などがあります。EPPは非常に侵襲の大きな術式で術後合併症などの発生が問題となります。近年では肺の摘出を行わず、胸膜のみを切除するPDという術式を施行する機会が増加しています。当院でも比較的早期から適応のある患者様に対しては術式としてP/Dを積極的に取り入れています。非常に経験を重要とする手術術式でありますが、当院では他施設と比較し、同術式の経験が豊富であります。
最近では、年間数例の比較的初期の中皮腫症例も経験し、今までEPPで手術をうけられた患者さんにおいては、5年以上の長期生存例や、10年以上の治癒症例を経験しています。しかし最近では欧米ならびに日本でも、EPP手術とP/D手術の術後成績に差がないとの報告が多くみられるようになりました。EPP手術の方が病変をしっかりと取り切れるという印象があっても、再発した場合に治療に耐えられる体力が残っていないことや、手術後もP/D手術の方が術後合併症が少なく、その後もQOLが良好であることも知れられてきています。当科では、2015年8月以来、悪性胸膜中皮腫の手術はすべてP/Dで行い、全ての方がお元気に退院され、ほとんどの方が術後補助治療を受けられています。現在、お1人の方に再発がありますが、治療を受けつつ健康に生活されています。

⑧胸部外傷
当院に救命救急センターが発足以来、胸部外傷で入院や手術を必要とする胸部外傷(血胸や肺挫傷、胸壁損傷など)の患者さんを診療する機会も増えて、今では軽傷は救急科で対応後、呼吸器外科で最後まで経過を診させていただき、重症では救急部・中央手術部・麻酔科と緊密に連携し、早期に手術をすることで救命される患者さんが増加しています。

診療実績

2016年の当科手術件数は197件となります。手術内容内訳は下記となります。

全手術件数(呼吸器外科領域):197件(除く再手術、小手術)

原発性肺癌:101(肺葉切除75、区域切除9、部分切除16)
転移性肺腫瘍:19
気胸:35
縦隔腫瘍+胸壁腫瘍:10
膿胸:3
外傷(血胸で手術に至ったもの):2
悪性胸膜中皮腫:3
その他:19

診察の受け方

1. 横須賀共済病院で初めて診療を受ける方(初診)
原則として診療表に従って外来診察しています。 外来診察日以外は手術・検査を行っているため、病状によっては呼吸器内科で診療を受けていただく場合があります。来院前に内科総合受付でご確認ください。

2. 他科の診療を受けているが「呼吸器外科」が初めての方
他科の主治医からその科の病状と今回の病状について紹介状と資料をお持ちください。

専門用語の解説
専門用語 解説
内視鏡手術とは? 大きく分けると次の2つです。
1. 2~3箇所、皮膚に1~2cmの穴をあけて、胸の中を見る胸腔鏡のみで観察しながら、長い内視鏡用の手術機械を使って手術する。
2. 数~10cm程度の小さな傷で胸を開けてそこから胸の中を直接見る事と、1~2cmの穴(1~2箇所)を開けて、そこからは内視鏡で見ることを併用して大きく胸を開け(標準開胸)ないで、小開胸で手術をする。
原発性肺癌とは何ですか?
(対応する言葉:転移性肺腫瘍)
他の臓器(肺以外の)にできた癌が肺に転移したもの(転移性肺腫瘍)ではなく、肺にはじめからできた癌(を含む腫瘍)のことを言います。
原発性肺癌にはどんな種類があって、
また治療に対する効果はどうですか?
肺癌と一口に言っても、顕微鏡で見分けると種類が十数種類もあるのですが、代表的なものは①小細胞癌②非小細胞癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)です。
小細胞癌は、抗がん剤や放射線治療がよく効くために内科(呼吸器内科)で治療することが多く、逆に非小細胞癌では抗がん剤や放射線の治療効果は不良で、比較的早い進行時期であれば手術(胸葉切除+リンパの領域の切除)で治ることができます。
悪性胸膜中皮腫とは何ですか?
疑われた場合にはどうすればよいのでしょうか?
アスベスト(石綿)の吸入曝露が最も多い原因で発症する胸膜の腫瘍です。2005年、兵庫県尼崎市の大手機械メーカー・クボタの旧工場の周辺住民にアスベスト疾患が発生しているとの報道以来、職業性のみならず、アスベストを使用する職場に勤める方のご家族(家庭内曝露)や環境曝露も知られてきています。電気工事や車のブレーキ、家屋の解体などでもアスベストが飛散し、吸入するとこれも原因となる事もあるので要注意です。多くの患者様は急に息苦しくなってレントゲンを撮ると、大量の胸水が発見されることが多いのですが、この時に胸水を採って調べても、中皮腫の(顕微鏡)診断は他の"がん"よりも難しいため、経験のある病理医が診ないと見過ごされてしまうことも少なくありませんでした。当院には、永らく中皮腫の診断に携わってきた病理医も常勤しておりますし、呼吸器内科・呼吸器外科のどちらも経験が多いので、的確な診断方法および治療方法を協議し、なるべく確実に早急に対応できる体制としています。また、気胸や自覚症状のない初期の胸膜肥厚に合併して見つかる早期症例の経験もありますが、アスベスト曝露や家族の方で疑わしいと思われる時には、労災病院や当院にご相談ください。詳細は未定ですが、近い将来に呼吸器センターの一部門としてアスベスト外来も担当する予定です。すでに職業性に石綿の吸入曝露が証明され、労災認定がおりている方においては、当院でも石綿検診も受け付けています。
相互リンク

公立大学法人横浜市立大学附属「市民総合医療センター呼吸器病センター (呼吸器外科)」
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