ごあいさつ

ウィズコロナ時代の新しい病院像

院長挨拶

 みなさま、こんにちは。このページを開いていただき、ありがとうございます。
 コロナ禍の自粛要請で、たいへんご苦労されたことでしょう。今まで良しとされていた、相手の目を見て想いを感じ取りながらの密なコミュニケーション、仕事のあとのお楽しみの会食や歓迎会。日常のすべてがリセットです。
 第二波は必ず来るでしょう。感染の予防のためには、密集、密接、密閉を避け、できるだけ非接触で距離を取り、人と会う機会も減らす。新しいスタイルの生活が求められます。

 このウィズコロナの時代に私たちはどうあるべきでしょうか。

 当院の軸はまったく変わりません。三浦半島の急性期診療の中核として、密な協力関係にあるアライアンス病院、医師会、行政のみなさんとともに、市民に最適な医療を提供していくことです。

 新型コロナウイルス感染症に対しては、横須賀のネットワークがよく機能していました。市の感染者数は57人(2020年7月6日現在)、10万人あたり1.4人でほぼ全国平均であり、この1ヶ月に新しい発生はありません。横須賀市・三浦市では陽性の入院患者はおられず、2月のクルーズ船に端を発したコロナ禍は一段落しています。
 この間、上地 克明横須賀市長、遠藤 千洋医師会長と協力し、市民に安心・安全を感じてもらえるシステムを作り上げてきました。
 まず、神奈川初のPCRセンターを4月24日にオープンし、検査の拡充に努めました。
 入院が必要な患者さんは、市内の2病院とともに受け入れました。当院は半島で唯一、重症者を受け入れ、隔離病棟をゾーニングして中等症、疑似症を診療してきました。新しい感染に市民も、患者さんも大きな不安を覚えられたと思いますが、現時点では第一波を乗り越えています。
 当院では院内感染はおきていません。防護服を着て、3重の手袋という重装備で治療を続けるという過酷な環境でも、スタッフは繊細な注意を払ってくれました。
 実態のわかっていない病気に対応し、さらに自分が感染する恐怖と闘わなくてはいけないのに、実は差別にも会っていました。入店を拒否される、学校の入学式を断られる、医療従事者の夫というだけで濃厚接触者と誤認されて2週間休まされるなど悲しい事実があります。
 一方で、温かい励ましも多くありました。マスクやフェイスシールドなど防護具、お菓子やお弁当、折り鶴など多彩なエールをいただきました。お礼の色紙をお送りしたところ、温かい心の交流としていろいろなメディアで取り上げてくださいました。
 この先感染者が増大しても十分に受けられる体制を整え、コロナ対応でも安心・安全を提供していきたいと考えています。

 さて、当院の大きな役目は当然ですが、もう一つ。三浦半島の基幹病院として通常の診療を守ること。
 2019年度は新入院患者数20,500人、救急車10,500台、オペ室手術件数7,500件など診療ボリュームは全国30位となりました。
 病院トータルとしての評価では、2年連続してNewsweek誌のWorld's Best Hospitalsに選ばれました。ノミネートされた日本の142病院中(ちなみに、全国には約8,500病院) 70位、また161のがんゲノム医療連携病院に指定されました。さらに内閣府の国家プロジェクト、SIPでは5番目のAIホスピタルになりました。ヒトとAIが共生できるよう、音声で自動入力できる電子カルテ、タブレット端末を利用した入院案内、オンライン面会などこれから求められていく、できるところは非接触のシステムへ、ウィズコロナでの新たな病院のあり方を開発したいと思います。


 当院の理念は"よかった。この病院で"(診療を受けて、働いてよかったと思える病院作り)ですが、市民にこの病院があることを誇りと思っていただけるようになることが、変わらない願いです。

2020年7月
横須賀共済病院 病院長 長堀 薫