爪障害への対処法
【脱毛の時期】
化学療法で爪障害が起こる機序は,明確には不明です.細胞周期が短い爪は化学療法剤の影響を受けやすく、爪障害が起こると考えられています。症状としては爪甲(そうこう)の脆弱化、爪甲剝離、爪周囲炎、化学療法剤が爪母のメラノサイトを刺激することで起こる色素沈着などの爪母の障害があります。
【爪甲の脆弱化】
●爪やすり(ネイルファイル)の使用爪切りで爪を切るという行為は、場合によって爪に亀裂を生じさせたり、欠けさせたりすることがあります。従って爪の長さや形を整える際には爪切りではなく、爪やすり(ネイルファイル)を使うことをおすすめします。
●マニキュアの使用
マニキュアを用いて爪甲上に被膜を作ることにより爪の厚さを増し、補強することができます。ネイルハードナーやネイルストレンスナーと呼ばれる製品であれば、より強度のある被膜を作れます。いずれも爪の補強を目的に線維などが配合されています。ただし、アクリルネイルやジェルネイルと称される硬化性樹脂製爪化化粧料を用いて強化することは、爪甲の脆弱化をきたしやすく、おすすめできません。
●保湿剤や一般的な化粧品(ハンドクリーム、オイルなど)による保湿
爪の弾力、柔軟性は水分量と関係がある。直接的に爪のもろさの改善とはならないが、割れや欠けの防止につながる爪の水分含有量を最適化するために、乾皮症用の保湿薬や一般的な化粧品(ハンドクリーム、オイルなど)を用いて保湿することが進められる。爪専用の化粧品(美容液・クリーム・オイルなど)もすすめられる。
【爪の変色】
化学療法中には、線状出血や色素沈着、爪甲を横走する白癬などにより、爪甲部の変色が生じることがある。爪甲の変色は目につきやすく、他者からの視線がきになるほか、就労や就学への影響を懸念することもある。
●マニキュアの使用
爪の変色のカモフラージュにマニキュアを使用する場合には、爪甲や爪郭の明度低下に合わせて、中・低明度の色を選択し、同色を数回重ねて塗布したりするとよい。男性や小児の場合は、肌色や爪の色に近い色を塗布した上から、マットな質感に仕上がるトップコートを使用しても良い。マットな質感に仕上がるトップコートはマニキュアのツヤを消し、自爪に近い印象をつくる。
最近のマニキュアには爪を保護する成分が配合されており、またリムーバーについても油分を配合し、脱脂・脱水に配慮された製品が販売されている。そのため頻回な利用を避け、使用を週に1回程度にとどめ、使用後は爪をよく洗った後にクリームやオイルなどの油分を補給すれば爪の問題はない。