血管外漏出

血管外漏出への対処法

【血管外漏出とは】

抗がん剤がカテーテル(末梢に入っているチューブ)の先端の移動などによって、血管外の周辺組織に漏れたときに、組織の炎症や壊死をもたらすものです。血管外漏出直後は無症状あるいは、軽い発赤・腫れ・痛みの皮膚症状が出現しますが、数時間〜数日後にその症状が増悪し、水泡→潰瘍→壊死形成へと移行していきます。

【自分でできる観察のポイント】
静脈内に挿入された針は、挿入部位の四肢を動かしても簡単に抜けたり、点滴が漏れてしまうことはほとんどありませんが、血管が細くなったり、もろくなっているようなときは、漏れに対する注意が必要です。針が挿入されている部位をできるだけ安静に保つように心がけてください。トイレなどは、投与前に済ませておいたほうが良いでしょう。以下の症状に気づくことで早期の対応につながります。
  • 点滴の針が入っている所の周辺の発赤
  • 点滴の針が入っている所の痛み(ピリピリした感じ)
  • 点滴の針が入っている所の腫れ(違和感)
また、身体症状以外にも
  • 点滴の速度が遅い
  • 予定の輸液量が達成されていない
  • 血液の逆流がない

などの状況であれば、すぐに看護師に知らせてください。

また、点滴の針を抜いた後は決してもまないで、しっかり押さえてください。押さえ方が不十分なときは、内出血を起こし、漏れはなくても腫れてしまうことがあります。針を抜いた後、5分間を目安に指でしっかり押さえて止血を行うようにしてください。
抗がん剤の漏出では、漏出直後に激痛がなくても2〜3日後に針が入っていた部分に赤み、痛み、腫れや潰瘍などの症状が現れてくることがあります。針を抜いた後も、数日間は変化がないか観察するようにしてください。

【血管外漏出時の対処方法】
抗がん剤の性質により対応が異なりますが、基本的には冷たい水や冷湿布などで冷やして、抗がん剤の限局化を図ります。抗がん剤投与中に血管外漏出を疑ったら医療者に報告してください。点滴を止めますが、すぐには針を抜きません。
① 留置針に残っている薬液を吸ってから、針も一緒に抜きます。
② 漏出した場所のある手や足を高くあげます。
③ 抗がん剤の種類によって適切な処置を施します。

[処置の例]
  • ステロイド軟膏の塗布
  • 局所注射
  • 冷湿布の貼用
  • ステロイドの内服

→ 新しくカテーテルを挿入する場合は抗がん剤が漏れ出した部分のある手や足には挿入しません。

漏出後24〜48時間は観察と処置が必要となります。自宅での対応としては、漏出部位を1回15〜20分間、1日4回以上は冷却し、できるだけ心臓より高くあげておきます。2〜3日過ぎても漏出部位の痛み、腫脹、発赤がおさまらない場合は、来院して再度診察が必要となります。