循環器内科による臨床研究(疫学研究)のお知らせ

「環境因子が急性冠症候群発症に与える影響についての疫学研究」調査へのご協力のお願い

【はじめに】
この説明文書は、大気汚染物質や気象条件などさまざまな環境因子が急性心筋梗塞や不安定狭心症などの心臓病の発症に関連するかどうかを検討する調査へご協力をお願いするためにあたってその内容をご説明したものです。
この調査は国立環境研究所、筑波大学医学部循環器内科との共同研究であり、筑波大学臨床研究等審査委員会および国立環境研究所医学研究倫理審査委員会(以下、倫理審査委員会と略す)において、倫理的、科学的及び医学的妥当性の観点から審査を受け、承認を得ております。
わからないことや疑問などがありましたら下記担当者に遠慮なくお尋ねください。

1.この調査の目的
これまでの疫学調査においては、わが国での虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)は心臓病による死亡全体の約5割を占め、人口の高齢化・生活習慣の欧米化・身体活動の低下に伴い、虚血性心疾患が増加傾向にあり、予防が重要な課題です。これまで、食生活や運動などの生活習慣に関連した危険因子と虚血性心疾患との関係は明らかになってきていますが、環境の影響についての検討はほとんどされていませんでした。最近では、大気汚染物質や気象条件など大気の環境因子が虚血性心疾患の発症に関連があることを示すことが海外で数多く報告されています。そこで、本調査では対象地域で測定された大気環境指標(気温・湿度・大気圧)および大気汚染物質(浮遊粒子状物質(SPM)、二酸化硫黄(NO2)、二酸化硫黄(SO2)、光化学オキシダント(Ox)の濃度の状態と虚血性心疾患との関連をについて調べ、環境因子という側面から虚血性心疾患の予防対策を提言することを目的としています。

2.この調査の方法について
(1)対象となる方々について平成20年10月1日から平成22年9月30日の間に、急性心筋梗塞、あるいは不安定狭心症のために横須賀共済病院に入院された患者様(20歳以上)が対象となります。
(2)調査方法アンケート調査票により得られた疾患発症のデータと地域で観測された環境データをもとに行う疫学研究です。

3.調査項目
(1)環境因子に関する項目(気温、相対湿度、大気圧、SPM、NO2、NOX、SO2、Ox、PM2.5、風向、風速)
(2)対象者背景に関する項目性別、年齢、住所(市町村名まで)、身長、体重、糖尿病・高脂血症・高血圧の既往の有無、喫煙習慣、飲酒習慣、内服薬
(3)急性冠症候群発症に関する項目急性冠症候群発症に係る自覚症状、その症状を自覚し始めた日時・場所(屋内/屋外、屋内であれば浴室/トイレ/それ以外の別)、急性冠症候群のため救急外来に搬送された・あるいは受診した日時、症状出現時の状況
(4)対象者の住環境に関する項目冷房器具・暖房器具の有無、全室暖房(セントラルヒーティング)の有無

※略語および用語の定義の一覧
PM2.5(微小粒子状物質)大気中粒子状物質のうち、2.5μm以下の微小の粒子状物質のことをいう。
SPM (浮遊粒子状物質)大気中粒子状物質のうち、10μm以下の粒子状物質のことをいい、ボイラーや自動車の排出ガス等から発生するもので、大気中に長時間滞留し、高濃度で肺や気管などに沈着して呼吸器に影響を及ぼす。
NO2 (二酸化硫黄)、NOX(窒素酸化物)窒素酸化物は、ものの燃焼や化学反応によって生じる窒素と酸素の化合物で、主として一酸化窒素(NO)とNO2の形で大気中に存在する。発生源は、工場・事業場、自動車、家庭等多種多様である。発生源からは、大部分が一酸化窒素として排出されるが、大気中で酸化されて二酸化窒素になる。二酸化窒素は、高濃度で呼吸器に影響を及ぼすほか、酸性雨及び光化学オキシダントの原因物質になると言われている。
SO2(二酸化硫黄)石油、石炭等を燃焼したときに含有される硫黄が酸化されて発生するもので、高濃度で呼吸器に影響を及ぼすほか、森林や湖沼などに影響を与える酸性雨の原因物質になると言われている。
Ox(光化学オキシダント)大気中の窒素酸化物や炭化水素が太陽の紫外線を受けて化学反応を起こし発生する汚染物質で、光化学スモッグの原因となり、高濃度では、粘膜を刺激し、呼吸器への影響を及ぼすほか、農作物など植物への影響も観察されている。

4.参加医療機関
筑波大学、茨城県立中央病院、横須賀共済病院、Ibaraki Coronary Artery Study (ICAS) Registry参加病院

5.プライバシーの保護について
個人情報の保護に関する法令及び疫学研究に関する倫理指針等を遵守し、この調査で取り扱う個人情報の取得、利用および管理を適正に行います。
(1)調査結果を解析する際には、あなたのお名前や個人を特定できるような個人情報は匿名化されたうえで行われます。
(2)この調査の結果は学術雑誌や学術集会などの場で公表される予定ですが、あなたのお名前や個人を特定できるような個人情報の秘密は厳重に守られ、第三者には絶対にわからないように配慮されます。
(3)この調査で得られたデータが本研究の目的以外に使用されることはありません。

6.いつでも相談窓口にご相談ください
あなたがこの調査や個人情報の取扱い等について知りたいことや、心配なこと、ご意見等がありましたらいつでも遠慮なく下記「連絡窓口」にご相談ください。こ寄せられたお問い合わせ・ご意見等について、適切かつ迅速な処理に努めてまいります。

7.責任者・連絡窓口
この調査の責任者・連絡窓口は以下のとおりです。
横須賀共済病院 循環器内科
〒238-8558  神奈川県横須賀市米が浜通1-16
TEL:046-822-2710
研究代表者(調査の責任者)野里 寿史