鼻副鼻腔がんの治療
副鼻腔には、上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞、前頭洞があります。
この中で多いのは上顎洞にできた上顎癌ですので、これに絞って解説します。
症 状
上顎洞は上顎骨という骨に囲まれていますので、初期には症状がありません。骨を破壊すると症状が出現します。
その時はすでにT2以上の病期となっていることになります。
進展方向により出現する症状が異なります。
鼻腔側への進展 | 鼻閉、鼻出血、悪臭のある鼻漏 |
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口腔側への進展 | 硬口蓋や歯肉の腫脹、歯痛、口腔内出血 |
眼窩側への進展 | 眼球の突出や偏位、眼球運動障害や複視 |
前方への進展 | 頬部の知覚麻痺や皮膚の発赤 |
後方への進展 | 顔面、硬口蓋の知覚異常や開口障害 |
診 断
まず、鼻内、口腔、頬部皮膚の視診、触診、ファイバースコープ検査を行います。
最初の検査は、CTをオーダーします。副鼻腔の陰影や骨破壊像のチェックと拡がりを確認します。
診断は、鼻腔からの生検でしますが、鼻腔から組織が簡単に取れない場合は、上顎洞の試験開洞による生検を行い、病理診断で確定します。
治 療
様々な治療スケジュールが考案されていますが、当院では手術、放射線、浅側頭動脈からの動注化学療法を組み合わせた、いわゆる三者併用療法を治療の基本としています。
症例により、眼球摘出を含む拡大手術を行います。頸部リンパ節転移を認める場合には頸部郭清術を行います。
治療成績・予後
(当院の治療成績)2011年頭頚部癌学会発表
2003年1月〜2010年12月 15例(男性11例 女性4例)
5年生存率 62.2%